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待合室の本 ~ 僕の小規模な生活(続き)

僕の小規模な生活(講談社 福満しげゆき)は週刊コミック モーニングに連載されていて、今はお休み中ですが、2月末くらいから再連載される予定です。

自信がなさそうで、かつ自分の生き方にコンプレックス抱きながら日々生活しているマンガ家(=作者?)が主人公です。

ところで週刊コミックモーニングといえば、青年コミック誌では、メジャー中のメジャーで、そこで連載され、かつ人気を得ているとう事は、漫画家としては頂点に近いところに到達した事を表してます。

主人公は奥さんと2人暮らしですが、マンガが売れるまでは、仕事やバイトもうまくいかず、ほぼ無職の状態で、ウツウツとした毎日を送っています。自分をさげすんだり、人をうらやむ気持ちが強く、マンガの中でその心情を吐露するのですが、その内容が本当に「小規模」なのです。

やがてマンガが少しずつ認められていくのですが、雑誌編集者との折衝やちょっとしたやりとりも、なかなか「小規模」で、圧倒的な筆力やパワーで人気の座を勝ち取っていく売れっ子マンガ家のサクセスストーリーとは対極にありあます。

同級生からも、あまり相手にされないような境遇にコンプレックスを抱きながらも、さりとて、歯を食いしばって努力と根性で漫画家としての成功をつかんだのでもなく、毎日のちょっとした偶然や、ちょっとした働きがけにより、作者の人生が少しずつ変わっていく様子を、断片的なエピソードと共に描かれています。

画風やストーリー展開はオリジナリティーにあふれ、「なんだこりゃ」と思いながらもつい夢中になって読んでしまいました。私にとってはとても面白い作品でしたが、万人向きかどうかはわかりません。

ちなみに、作者はこの作品を フィクションと主張されていますが、この作品の前作に当たる「僕の小規模な失敗(青林工藝舎)」から続けて読むと、作者の実際の日々を綴っているものとしか思えません。作者のますますのご活躍を期待しています。