研修会「再生医療とインプラント治療」

2024年11月30日研修会・講習会

JAO(日本オッセオインテグレーションアカデミー)の例会に参加してまいりました。
「実用化の進む再生医療とインプラント治療」がテーマで、講師に岐阜大学大学院医学系研究科 感覚運動医学講座 口腔外科学分野の山田陽一教授によるセミナーでした。再生医療の基礎から最新の臨床応用に至るまでを幅広くご講演いただきました。

再生医療は、1つの受精卵から約40兆個の細胞へ成長する仕組みを応用した医療技術で、1993年に提唱された「Tissue Engineering」の概念や2006年のiPS細胞発見を契機に注目を集め、臨床応用が進んでいます。歯科領域は再生医療の応用が進んだ分野の一つで、GBR法やGTR法を用いた歯周病治療やインプラントの骨造成、不要歯の歯髄幹細胞を活用した骨再生研究が進行中です。
また、歯髄炎や根尖性歯周炎に対する治療は既に実用化されているとのことで、実際の症例報告もされておりました。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、インプラント治療や顎顔面補綴治療でも新たな可能性が広がっており、講演後の質疑応答では、再生医療の安全性や将来性に関する議論が活発に行われ、具体的なデータを交えた解説を頂きました。
今回のセミナーを通じ、再生医療の進化と歯科領域での実用化が着実に進んでいる現状が実感されました。

歯の接着についての研修会

2024年9月29日研修会・講習会

7月20日、7月定例研修会が鷲野崇先生(わしの歯科クリニック 名古屋市)をお招きして、ソフィアインプラントセンター開催されました。鷲野先生は、今年3月の例会に続いてのご講演です。

鷲野先生は接着歯学をご専門とされており、3月の例会ではコンポジットレジンによる直接修復(小さな虫歯治療)をメインに、今回の例会では、各種セラミックス、ジルコニア、ハイブリッドレジンによるCAD/CAM冠など、さまざまなマテリアルに対する接着法(クラウンなど被せ物の接着方法)についてご講演いただきました。コンポジット修復やセラミックス冠の装着は、日常の歯科臨床で最も頻繁に行われる治療内容ですが、それらの接着修復をいかに長期的な成功に導くかについて、さまざまな実験や研究に基づいたテクニックをご紹介いただきました。

最近、詰め物や被せ物がはずれる頻度は少なくなってきましたが、その元にあるのは、接着材料の進歩とそれを日々扱う歯科医のちょっとした心がけと手間であることを実感させられる講習会でした。

 

 

口腔外科 全身管理についての講習会

2023年11月11日研修会・講習会

9月10日(日)に開催された令和5年のJAO特別講演会に参加いたしました。

講師は小谷順一郎先生(大阪歯科大学歯科麻酔学講座名誉教授)で、講演のテーマは
「明日の歯科インプラント医療に必要な手術時の全身管理-知らぬが仏になっていないか?」でした。

小谷順一郎先生は麻酔学を専門としており、
現在多くの個人開業歯科医院で歯科麻酔科医としてのサポートを行っています。

その経験から、「知らぬが仏になっていないか?」の演題にある通り、
臨床家にとって馴染みの薄い、または見落としがちな
 
①歯科インプラント手術の全身管理、鎮静法の応用と問題点、
②重大な偶発症であるアナフィラキシーの病態、診断、歯科医院での初期対応、他の偶発症との区別方法、
③インプラント手術後の下歯槽神経やオトガイ神経障害など、についてご講演いただきました。

当院では、手術中の患者さんのモニター方法や、準備してあるとはいえ、
アナフィラキシーショック時にスムーズに対応できるよう体制を整えたいと感じました。

「歯周病治療の長期予後」 についての勉強会

2023年8月23日研修会・講習会

令和5年7月22日(土)に、JAO(日本オッセオインテグレーションアカデミー)7月例会が松本歯科大学歯科保存学講座(歯周)の吉成伸夫先生をお招きして行われました。今回のテーマは「歯周病治療の長期予後」でした。

講演は、骨吸収の形態(水平性、垂直性など)や菌叢(A.a.菌による侵襲性歯周炎やPg菌、Tf菌、Td菌による典型的歯周炎)と歯周病長期予後との関連性についてお話しでした。また、リグロスとサイトランスを使用した再生療法や、インプラント周囲炎と好中球の関わりなど、最新の歯周病学のエビデンスに基づくトピックスについても、臨床ベースで詳しくご講演されました。

講演の後、活発な質疑応答が行われ、例会終了後に行われた懇親会でも、引き続き講師との有意義な意見交換が行われました。