日本臨床歯周病学会第31回年次大会に参加して

2013年7月20日学会, 歯のコラム

去る6/15(土),16(日)に札幌で開催された日本臨床歯周病学会第31回年次大会に参加させていただきました。

今年の歯科衛生士のシンポジウムは”歯科衛生士も歯を守る”という内容でした。

2日間の講演を聞き、改めて歯科衛生士として患者さんに何が出来るのだろうと考えさせられました。

金子歯科医院 院長 金子至先生の講演で歯科衛生士になって5年目までは新米だとおっしゃていました。ちょうど私は今年で歯科衛生士になって5年目になります。今までを振り返るとただただ目の前の業務をこなすだけだったような気がしました。

今後はこれまで得た知識をもとに自信をもって歯周治療に取り組んでいきたいと思います。
それから、もう一つ金子先生の講演で心に残った言葉があります。
それは、

“患者さんが自分の家族を連れて行きたくなる歯科医院を目標にしている”

という言葉でした。

勤務をしていて突然来院されなくなってしまった患者さんがいるととてもさみしく思います。何か事情があったからだと思いますが、患者さんとの間に信頼関係があればもっと違ったかたちになっていたんじゃないかと思います。今まで以上に患者さんと信頼関係を築き、信頼される歯科衛生士としてこれからも頑張っていきたいと思います。

写真

余談ですが、学会1日目の夜に院長先生がサッポロビアガーデンに連れてっていただきました。
初めてのジンギスカンとってもおいしかったです。このあと内田さんと夜の札幌へ、、、

歯科衛生士 中野梨沙

日本臨床歯周病学会 歯科衛生士も参加しました その1

2013年7月1日学会, 歯のコラム

去る6月15日と16日の2日間
日本臨床歯周病学会に行って参りました。

gakkai

今年は会場が北海道ということで初日は途中からの参加でしたが、
どの歯科衛生士さんの講演も考えさせられるものばかりです。

2日目の講演で北海道でご活躍されている 歯科衛生士 佐藤昌美さんの
「天然歯をまもる歯周治療ー歯科衛生士の臨床力」がとても印象的でした。

少し専門的な話にはなりますが、
歯周治療の目的は、アタッチメントロスの進行を抑制して歯肉の付着位置を出来る限り獲得すること。

つまり簡単にいうと、最近よくCMで聞く歯周ポケット(歯と歯茎の境目の溝)を
出来る限り正常な値にまで改善させることを指します。

歯周治療で使う道具はさまざまで、機械もあれば手用もあります。

私たち歯科衛生士は技術の向上はもちろん重要ですが、

美容師さんがハサミを研ぐように...
板前さんが包丁を研ぐように...

使用する道具をきちんと管理(メインテナンス)することも重要です。

佐藤さんの講演で、道具の管理(メインテナンス)の確認や、その管理された道具を使って
どう治療に活かすのか詳しいお話を聞くことができました。

「天然歯をまもる」には、プロフェッショナルによるプラークコントロールと
患者さんのセルフケア(家でのブラッシング等)によるプラークの除去の両者の実践によって
人間の身体が備えている本来の治癒力は発揮され、歯周治療の目的を果たすことが可能となります。

少し難しいお話になりましたが....

昔から「物を大切に使いましょう」なんて言葉があるように
道具も大切な仕事のパートナーなので、今回の学会で得た知識を日頃の臨床に活かしたいと思います。

私事ではありますが、去年本学会の認定資格を取得しました。
長谷川院長はじめ、ご協力いただきました患者さんやご指導いただいた先生、スタッフのみなさんに
この場をお借りして感謝申し上げます。

saorijacp

これからもみなさんのお役に立てるよう頑張ります。

歯科衛生士 内田沙織梨

学会会場で記念撮影。スタッフと共に参加しました!!

日本臨床歯周病学会 第31回年次大会に参加しました(2)

2013年6月18日学会, 歯のコラム

前回に引き続き 学会参加報告のです。

専門的で読みにくいところはテキトーに読み飛ばして下さいね(笑)

ココから少し専門的です  ↓
 

最近問題視されている、インプラント周囲炎についての講演がありました。
九州の松井孝道先生の 「インプラント周囲組織の長期安定を目指して 」です。

インプラント周囲炎は、普通の歯(天然歯)で歯周病が発症するのと同じように、人工歯根であるインプラント周囲の歯肉や歯槽骨に起こる炎症疾患のことです。

以前は、インプラント周囲には炎症は起こりにくいと言われていましたが、インプラントの普及に伴い、インプラント周囲炎がクローズアップされてきました。インプラント周囲炎はインプラントの長期安定を妨げる為、歯科医にとっても患者さんにとっても重要な問題です。

インプラント周囲炎治療の基本は露出インプラント表面のDecontamination(除染)です。
その手法は以下の通り

1. 機械的清掃

エアースケーラでの表面除染はNG。(電位差によりインプラント体が腐食しやすくなる 鉄Fe元素が表面に残留するため)
カーバイドバーでの研磨もNG (タングステンが残る)
ステンレスバー  チタンバーもNG  (いずれも表層に異種元素が残る)
準チタンの超音波スケーラーならOK 異種元素残らない
純チタン性の球キュレットならOK

2. 光殺菌治療  非浸襲性で副作用がない点で有用

3. Air Abretion法(強圧でパウダーを吹き付け清掃します)
重炭酸ナトリウムによるものではシリカが残留し、アミノ酸パウダー(グリシン)では充分な清掃性が期待できず、β-tcp パウダーが有効である
 
4. Er-YAGレーザー 有効であるが 360度均等に当てるにはテクニックが必要 

光殺菌治療 とAir Abrasion(β-tcp パウダー)の併用療法を推奨されていました

インプラント表面性状について
anodized surface や HA(ハイドロキシアパタイト)コーティングのものは、一旦露出するとバクテリアの温床となるため、インプラント周囲炎の観点から言えば、避けた方が良いとの見解でした。

他 トピックスとして、

市販の歯磨き剤 「クリアクリーン」 は炭酸カルシウムの顆粒(大きめ)が歯周ポケット内に入り込み害性があるとのこと

チタンの溶出、腐食は深刻な問題です。
高濃度フッ素 (フローデンなどの塗布剤)が深く関与しているとのこと。洗口薬のミラノールは低濃度のためOKです。
コンクールGelCoat も高濃度フッ化物を含有し問題あり。つまり、インプラント周囲にフッ化物のPMTCは禁忌です。

天然歯用の洗浄剤をインプラントの洗浄に準用するのは、危険を伴う事もあります。こういった情報を得て、日常の治療に生かすことの大切さを実感しました。

さて・・・・

固い話はこれくらいにして・・・・・

学会後は懇親会があるのですが・・・・

それは華麗にスルーして・・・・・

札幌ということで、お約束のサッポロビール園に行って参りました。

900人以上収容の巨大なビール園で、生ビールとジンギスカン(おいしい!)を堪能してきました。

写真bi-ruenn

また折を見て、他の学会の報告もさせていただきます。

日本臨床歯周病学会 第31回年次大会に参加しました(1)

2013年6月18日学会, 歯のコラム

去る6/15(土)16(日) に日本臨床歯周病学会 第31回年次大会に行って参りました。

札幌コンベンションセンターで行われ、
今年のテーマは 「ペリオドンティストが歯を守る~Wes save teeth」でした。
ちなみに ペリオドンティスト とは、一般的に歯周病専門医を表します。

学会00

この学会は、臨床的なテーマがメインですので、いつも学ぶことが多いのですが、今年は2日目の
「アジスロマイシンを用いた抗菌療法によるインフェクションコントロール」五味一博先生(鶴見大学)のご講演が勉強になりました。

アジスロマイシンは 「ジスロマック」 の商標名(ファイザー社)で、歯科でも頻用される薬です。
効果が強力であるからといって、漫然と処方せず、その特性にそった使用をする必要があるという内容です。

アジスロマイシンの特徴である、病原菌の元に選択的に移動する、いわゆるファゴサイト・デリバリーについては、知っていたのですが、

  ファゴサイト・デリバリー :
  食細胞(好中球)内のリソゾームに取り込まれた高濃度のアジスロマイシンは、炎症部
  (歯周ポケット内縁上皮)に移行し細菌に対し効力を発揮する。それにより、強力かつ
  持続的抗菌力(7日間から長いと14日間)を現す。

タンパク形成抑制作用により、バイオフィルムを破壊する働きがある点(歯周病で効果を発揮する決め手となっています)や、アジスロマイシンを使用するタイミングやポイントについて、明確に示してもらえたのは有意義でした。

  アジスロマイシンを使用するタイミング :
  歯周初期治療終了後、基本治療 のフルマウスSRPの際、TBI SCで反応がよくないとき処方する。

さらに日本人は処方された薬をきちんと服用する人の割合が30%と低いという調査結果があることから(健康保険の弊害?)通常のジスロマック錠より、ジスロマックSR(シロップ)の方が効果的であること

また、ジスロマックで おなかをこわす理由は、 アジスロマイシンの分子構造が、腸の蠕動(ぜんどう)運動を亢進させるモチリンという酵素の構造と類似していることによるためで、腸内細菌が変化するためではない点。そしてそれを予防するにはセレキノン(蠕動運動抑制剤錠)が有効である、などの内容でした。

画像1

去年に引き続き、saoriさんとrisaさんも 歯科衛生士セッションに学会参加していただきました。

(続く)

日本臨床歯周病学会に参加して。その4

2012年7月4日学会, 歯のコラム

去る6月16日、17日の2日間
日本臨床歯周病学会に参加してまいりました。

学会は3度目となる参加ですが、迫力のすごさに何度参加しても緊張してしまいます...(汗)

今回は30周年記念大会ということもあり、
特別講演や歯科衛生士教育プログラムなどタイムスケジュール盛りだくさと
充実した2日間でした。

uchida2011-00

ポスター発表のコーナーです。
いろいろな症例をポスター形式で紹介するコーナーがあり、どれも参考になるものばかりです。
そのなかで、「将来、どんなお口の状態でいたいですか?」
という問いかけをした文面を読んだ時に、非常に感銘を受けました。

残念ながら、成人の80%の方が歯周病に罹患しているといわれています。
この2日間で、感じたこと、学んだことをスタッフ同士で意見交換を重ねながら
プロフェッショナルとしてより多くの患者様にお口の健康の大切さをお伝えし、
成長し続けていきたいです。

歯科衛生士  内田沙織梨