日本臨床歯周病学会 第33回年次大会 その1

2015年7月21日学会, 歯のコラム

平成27年 7月18日(土)19日(日)に、宮城県仙台市の国際センターで日本臨床歯周病学会が開催されました。

大会テーマは 「みちのくペリオ 再生への道 」です。
当院では私はじめ、6人の 歯科衛生士で参加しました。

jacp台風の翌日でした

ちなみにテーマの「ペリオ」とは歯周病(Periodontitis)の事です。

また、「再生」とは、歯周病では失われた歯周組織(骨や歯肉など)をもとの状態、もしくはそれに近い状態に戻すための療法を表します。
再生医療といえば、中山教授のIPS細胞の研究が注目の的ですが、歯周病でも様々なマテリアル(材料)を使用した治療法が試みられており、その歴史は結構長いのですが、次々に新しい素材が研究開発され、いつも最先端の話題が提供されています。

また「再生」は、震災のち4年経過した東北地方の復興支援の意味も含めています。(日本臨床歯周病学会も、震災復興には出来る限りの支援を続けてきました)

jacp02会場内は超満員

今回の学会を通して最も多く扱われていた材料の一つにEMD(emdogain=エムドゲイン)があります。

エムドゲインは、幼弱ブタの歯胚より抽出されたエナメルマトリックスタンパクを主成分とした薬剤で、歯周外科手術後に歯根表面に塗布する事により、セメント質が再生する事を期待するものです。エナメルマトリクスタンパクは、歯の発生期に重要な役割を果たすタンパクのひとつで、セメント質の形成や機能性を有した付着組織の発達に関わるため、歯周組織再生誘導材料として使用されています。

と書いても、何が何だか解りませんので、簡単に言うと歯周病で溶かされた骨を再生させる薬です。(わかりやすく書いたため、厳密に言えば少し間違った表現となってますが・・・)

長谷川も、エムドゲインが初めて日本に入って来た時、依頼を受けてその治療の臨床試験を行いました。確かに歯周病の手術の治りがとても良く、かつレントゲンでは骨が再生されているのが確認されたのでその旨報告書を書いた記憶があります。

ただ、薬の取り扱いが結構難しく(当時は2液性だった)また、患者さんへの説明が難しく(豚のタンパクを使うと言うだけで避かれました)、さらにレントゲン上で効果が認められても患者さんにとっては、治ったと実感されにくいなど、薬剤の優秀さを認めながらもなかなか導入に踏み込めずにいました。

しかし今回の学会での諸先生方のすばらしい治療効果を目の当たりにして、十分な効果が期待できる症例には、患者さんへの説明、同意の上、臨床応用していく必要性を感じましたさて、今回は衛生士セッションもなかなか充実していたとのこと。そちらの報告も順にさせて頂きます。

第32回 日本臨床歯周病学会に参加して 4

2014年8月1日学会, 歯のコラム

先日、6月21、22日に名古屋で行われた
日本臨床歯周病学会第32回年次大会
に出席してきました。
地元名古屋ということでとても楽しみにしていた学会でした。

たくさんの講演をきいた中で私が特に印象に残っているのは
『包括的治療における歯科衛生士としての役割』
という重度歯周病と診断され抜歯となったが、他にも歯周病の進行が
認められる部位、補綴修復歯の不適合、縁下う蝕など多数の問題点があり
抜歯、インプラント治療、歯周外科処置など全顎的な治療が必要と診断された
患者さんの症例でした。

この患者さんは言葉数が少なく、物静かな印象の方で
初診時には、今まで自分の口腔内を怖くて見れなかったと言われたそうでした。

最初は聞かれないとあまり話されない方だったのが
治療を進めていく中で担当衛生士がコミニケーションをとることで
今まで口腔内を見れなかったと言っていた方が
『カレーを食べたら歯に色がついた気がする』
と歯の色の相談されたり
外科処置後の暫間義歯についても、少し不安そうな表情だったので
『大丈夫ですか?』と担当衛生士がお聞きしたところ
『実は、、義歯に違和感があって金具が目立つのが気になって最近はマスクばかりなんです。』
と打ち明けられ、それをもとに患者さんの要望に沿った治療
になったそうで、患者さんは長期治療を無事に終えれたそうです。

全顎的な治療は口腔内の変化が大きく時間を要することがあるため
患者さんには精神的なストレスがかかってくることがあります。
治療へのモチベーションを維持するために
担当衛生士として治療による口腔内の変化に対しての説明や
不安をなくすためにも患者さんの表情の変化をみながらの
声掛けなどのサポートが必要なのだなと思いました。

当院でもインプラントや補綴治療で全顎的な治療になる方は少なくないので
患者さんの気持ちの変化に寄り添ってモチベーションの維持を
していけるように今後の治療に役立てたいなと思いました。

歯科衛生士 奥野 美樹

第32回 日本臨床歯周病学会に参加して 3

2014年7月30日学会, 歯のコラム

去る6月21日、22日に名古屋国際会議場で開催された、日本臨床歯周病学会第32回年次大会に参加させていただきました。

今年で年次学会に参加させていただくのは3回目になります。
毎年新しい歯科治療法のケースプレゼテーションをみてとても刺激をうけます。

今年の学術大会のテーマは『再生療法』でした。

数年前に参加した時はあまり聞き慣れない治療法だったのですが
最近では書籍などでもよくみかけるようになりました。

この2日間で全国各地からお見えになった歯科衛生士さんの
再生療法を用いたケースプレゼテーションを多数聞きました。

実際、再生療法を行うのは歯科医師です。

歯科衛生士は何をするのかというと患者さんのメンテナンスになります。

メンテナンスといっても業務はたくさんあります。

患者さんに日々の歯磨きを正しい方法で行っていただくよう、
指導をさせていただいたり歯のクリーニングはもちろんのことですが

治療にたいしてストレスを感じていないだろうか?不安に思っていることはないだろうか?
など患者さんとのコミュニケーションも業務の一つです。

また、それを歯科医師に伝えるのも歯科衛生士の大切な業務だと思います。
安心して患者さんに治療を受けていただけるよう
患者さんとドクターの架け橋になるような存在でありたいと思いました。

nakanorisagakkai

歯科衛生士  中野梨沙

第32回 日本臨床歯周病学会に参加して 2

2014年6月27日学会, 歯のコラム

先日の6月21、22日に第32回日本臨床歯周病学会に参加してきました。今年の会場は名古屋の国際会議場でした。

初めての参加でとても緊張しましたが、たくさんの歯科衛生士さんの講演、発表が聞けてとても勉強になりました。

今回のテーマは『再生へのかけ橋~成功への道しるべ』でした。再生医療についてです。

多くの講演の中でも、私が興味を持った講演は名古屋大学大学院医学系研究科循環器内科学特別講師の柴田玲先生による″メタボを学んで歯も健康に”という講演でした。

jacpフォーラム集合

メタボリックシンドロームと歯周病が関係していることみなさんはご存知でしたか?
そもそも、歯周病は肥満の人に多いそうです。そして心疾患で死亡した人は歯周病の重度な患者が多いというデータがあります。
つまり、適度なカロリー制限が大切ということです。カロリーを制限することは長生きにも繋がります。また認知症にもなりにくくなります。
これらの予防は簡単で、よく噛むこと、ゆっくり食べることでメタボリックシンドローム予防できるそうです。食べる早さも関係するということですね。これほど近い関係にあったということに驚きました。

歯周病という生活習慣病はお口の中だけではなく全身に関わってくるということが改めてわかりました。
今回の学会で学んだことを今後に活かしていきたいです。

歯科衛生士 雪山つばさ

第32回 日本臨床歯周病学会 に参加して 1

2014年6月26日学会, 歯のコラム

今年も、学会の季節がやって参りました。

医科系の学会は、春は6月 秋は10月開催に開催されることが多いです。

6月21日(土)22日(日)に行われた 日本臨床歯周病学会 にスタッフとともに参加して参りました。
今年は中部支部が主管で、名古屋開催です。

jacp会場

不肖 長谷川も運営のお手伝いをさせていただきました。
というか、一日目は運営でほとんど聴講できませんでした。

学会は 歯科医師向け、歯科衛生士向け あと一般市民にむけた教育講演など
バラエティーに富んでいますが、

なんと言っても今回の学会の目玉は

TONETTI, Mauriziov 先生(イタリア)の特別講演です。

マイクロスコープを使用した、最小限の侵襲(体への負担)で行われる歯周外科手術は目を見張るばかりでした。

オペのムービーの説明で

「これは一見簡単そうに見えますがそうではないでーす」(もちろん英語で)

と何度も念を押されていましたが、確かに個々の診断があり、手術に至るまでの患者管理や術前準備、そして何より確かな手技があって初めてあのような精密な手術ができるのでしょう。

サッカーW杯ブラジル大会で、イタリアはやや苦戦を強いられているので、TONETTI先生のご講演のテンションが下がるのが心配されたのですが、その不安を払拭する熱の入った講演でした。

さて、この学会は、歯科衛生士のプログラムが充実していて、それについては当院から参加の歯科衛生士さんにご報告いただきます。

jacpDH